賢い投資戦略:長期・積立・分散の効果とは ①『長期』編

INTERVIEW

資産運用のリスクを小さくするための基本である『長期』・『積立』・『分散』について、金融教育家の塚本俊太郎氏に分かりやすく解説いただきました。

インタビューした専門家

金融教育家塚本 俊太郎
つかもと しゅんたろう

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長期投資のメリット

―投資において『長期』・『積立』・『分散』が大切だという話はよく聞きますが、お客さまとお話をしていると「言葉は知っている」けど「なぜ大切なのかはよく分からない」と言われる方も多いです。 例えば『長期』で運用することでどんないいことがあるんでしょうか?

投資をしていると、当然に値動きがあるので、運用期間が5年ぐらいだと元本割れをしてしまうということが往々にしてあります。ただ、過去のデータを見てみると投資期間が20年ぐらいだとプラスになってるケースが非常に多くなっていて、元本割れリスクが抑えられる。景気の「良い」「悪い」のサイクルが、だいたい10年くらいと言われているので、例えば20年ぐらい運用すると、景気の「良い」「悪い」のサイクルがだいたい2回転することになりますよね。
こういった景気の「良い」「悪い」のサイクルを乗り越えて増えていくというところが長期運用のメリットになると思います。

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長期投資の目安

―長期投資を検討するにあたっての目安の期間は20年と考えればいいでしょうか?

20年間の間に何があるかを想定することは結構難しいと思うので、投資期間としては10年が一つの目安で、できれば20年ぐらい続けられるといいと思いますよ。先ほど説明したように、過去のデータで見ると、元本割れリスクがかなり減ることになるので、投資期間は長ければ長いほどいい。

※1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付けを行ったものです。各年の買付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとに運用結果及び年率を算出しています。これは過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。 【出所】金融庁ホームページ「つみたてNISA早わかりガイドブック」

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投資を長く続ける自信がない場合は?

―10年も先のことは分からない、長く続けられる自信がないから投資はしないほうがいいと思われる方には、どのようなアドバイスをされますか?

だいたい10年ぐらい使う予定がない資金があるのであれば、まず運用しましょうとお伝えしますね。 ただ、10年の間で何が起きるか分からないってことは当然にあると思うので、途中でどうしても資金が必要だってことになったら、それは長期投資に関係なく、売却して使うということが大事だと思います。10年間絶対使ってはいけないと考えるのではなく、とりあえず使う予定が当面ない資金ということであれば運用始めるといいと思います。

―先のことを考えすぎて、運用を始められないのはもったいないので、まずは始めてみることが大切ですね。

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教育資金の場合の考え方

―例えば、教育資金を運用商品で準備する場合はどのように考えればいいでしょうか?

10年以上置いておける資金は株式投資信託、10年以内に使う予定があるお金は個人向け国債の固定5年や変動10年、5年未満は預金に振り分けるというように、投資期間によって何に投資をするかを分けるのが考えやすいかなと思います。
例えば、お子さんが生まれたばかりで、大学入学までの18年間は投資ができますという場合は、基本的には株式投資信託でいいと思います。 実際に必要になるタイミングでの値動きのリスクを下げるために、大学に入学する5年前ぐらい(中学生の段階ぐらい)から少しずつ株式を売却して債券や預金にシフトしていくといいと思いますよ。

あとは、例えば、5年くらいで想定以上に増えたっていうケースもあると思うんですよね。
早い段階で、ある程度予定していた金額に到達したとか目標が達成できているのであれば、そのタイミングで18歳を待たずにかなりの部分は売却して教育資金として預金に置いておくというのもいいと思います。

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まとめ

  • 長期投資の目安は10年、でも長ければ長いほどいい!!
  • 10年使う予定がなければ、とりあえず運用を始めてみる
  • 投資期間によって投資対象を分ける
資産運用は長期目線で考えることが大切です。
自分に合った資産運用について相談したい、相談しながらライフプランをふまえた資産運用を検討したい方は、ぜひFDAlcoまでご相談ください。

  • コラムシリーズ「賢い投資戦略:長期・積立・分散の効果とは」
  • ②『積立』編はこちら
  • ③『分散』編はこちら

塚本俊太郎(金融教育家)

20年超外資系運用会社で勤務したのち、2020年に金融庁へ入庁し金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。Eテレ「趣味どきっ!」に3月1日(水)21:30から4週にわたり「金育」をテーマに出演。
日本金融教育推進協会理事
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慶応義塾大学総合政策学部卒業
シラキュース大学大学院国際関係論修士卒業

株式会社FDAlco 免許・許認可:金融商品取引業(投資助言・代理業)北陸財務局長(金商)第26号/加入協会:一般社団法人 日本投資顧問業協会