賢い投資戦略:長期・積立・分散の効果とは ②『積立』編

INTERVIEW

資産運用のリスクを小さくするための基本である『長期』・『積立』・『分散』について、金融教育家の塚本俊太郎氏に分かりやすく解説いただきました。

インタビューした専門家

金融教育家塚本 俊太郎
つかもと しゅんたろう

01

積立はリスク抑制効果がある?

―『積立』についての考え方を教えてください。

「積立投資はリスクを抑える効果がある」というふうに言われる方が結構いらっしゃるんですが、僕はその考え方は少し違うなと思っています。ですから、分散と積立投資を分けてお話しをすることが多いですね。

積立投資は、毎月決まった金額買っていくということなので、投資のタイミングを取らずに着実に投資ができる仕組みです。例えば、毎月1万円であれば12ヶ月後には12万円が絶対投資できている。市場が上がっている時は価格が上がっているので買える量は少なくて、下がってる時には多く買えるという仕組みになってるので、株式のような波があるものに対しては、価格変動の波を乗り越えやすいやり方だと思います。
あとは、積立投資の場合は下がっているときでも、「安く買えてるからいいよね」というふうに思えるので、メンタル的に継続しやすいというのもメリットとしては大きいと思います。

【出所】金融庁ホームページ「つみたてNISA早わかりガイドブック」

積立投資って、投資額としては最初は小さいんですけど、継続的にずっと積立していくと投資額は大きくなっていきますよね。投資額が大きくなってくると、結局、一番最初に一括投資をした額と積立投資の額自体はあんまり変わらなくなる。そうなると、積立投資をしてるから結果的に値動きがマイルドになるのかって言われると、そうはならないですよね。
例えば、複数の資産に分散投資したり、地域を分散することによって得られるような値動きを小さくするといった分散投資の効果は、実は積立にはないんですよ。

―積立をしている間の値動きをマイルドにする効果と、一定の金額を貯めてしまった後の値動きは分けて考える必要がありますね。

02

積立の弱点とは

―積立に弱点があるとすると、どのようなものがありますか?

基本的に右肩上がりの相場の場合は、一括投資の方が資金を増やす効率はいいですね。特に株式投資の過去のデータを見ると、ほとんどの場合、一括投資の方が資金効率的には有利になります。
投資経験として下がって戻るという経験をしたことがあって、長期投資ができますって決心できる場合は、必ずしも積立投資にこだわる必要はないし、一括投資で始められても構わないと思います。
ただ、投資経験がない場合だと、大きく下がると怖くなって、そのタイミングで投資をやめちゃうっていう事も多いので、やはりメンタル的には積立投資で投資を継続していく方がいいとは思います。

―投資を安心して長く続けていくためには、やはり積立の効果は大きいですね。

03

積立投資におすすめの投資対象

―積立投資をする上でのおすすめの投資対象はどのようなものでしょうか?

やっぱり値動きがある商品、買う時にタイミングを取りたくなってしまうようなものは、積立投資で淡々と買っていくといいと思います。 例えば、株式みたいに上がったり下がったりするようなものは、なるべく安いときに買いたくなりますよね。こういった商品の場合は、毎月淡々と決まった金額買ってくっていう方が投資の方法としては合っていると思います。
一方で、値動きがほとんどないような商品であれば、積立投資をする必要性はあまりないと思います。

―まとまった資金があるときに、一括投資なのか積立投資なのかを迷われるかたもいらっしゃいますよね。

株式のような値動きがあるものだったら、最初からドカンと入れるよりも、やはり積立投資の方が継続しやすいと思いますし、債券で運用する投資信託のようなものであれば、まとまった資金があるなら最初から一括投資でもいいと思いますよ。

04

まとめ

  • 『積立投資』はタイミングを取らずに投資する方法
  • 『積立』で値動きをマイルドにする効果は積立期間中のみ
  • 積立投資は価格変動の波を乗り越えやすく、メンタルに優しい(投資を続けやすい)
  • 買うタイミングを計りたくなる値動きのあるものは積立がおすすめ
資産運用は長期目線で考えることが大切です。
自分に合った資産運用について相談したい、相談しながらライフプランをふまえた資産運用を検討したい方は、ぜひFDAlcoまでご相談ください。

  • コラムシリーズ「賢い投資戦略:長期・積立・分散の効果とは」
  • ①『長期』編はこちら
  • ③『分散』編はこちら

塚本俊太郎(金融教育家)

1994年、慶応義塾大学総合政策学部卒、97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論修士卒業。同年、UBS信託銀行に入行し、債券運用部ファンドマネージャーを務める。02年以降、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズ(現ブラックロック・ジャパン)、ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントなど外資系運用会社にて、ストラテジストや投資戦略部長などを歴任。20年に金融庁へ入庁し金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。

株式会社FDAlco 免許・許認可:金融商品取引業(投資助言・代理業)北陸財務局長(金商)第26号/加入協会:一般社団法人 日本投資顧問業協会