賢く貯めて始める投資の旅 : 効果的なお金の貯め方とコツ

INTERVIEW

資産運用に関心はあるけれど、日々の生活費やローンの返済、子供の教育資金の準備などで、投資に回すお金の確保が難しいというお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。金融教育家の塚本俊太郎氏に効果的な投資資金の作り方についてお話を伺いました。

インタビューした専門家

金融教育家塚本 俊太郎
つかもと しゅんたろう

01

先取り貯蓄のススメ

―「お金を貯める」って本当に難しいですよね。

「お金を貯めたいけどなかなか貯められない」というのは、多くの人に共通することだと思います。
お金の貯め方には色々ありますが、「お金があると使ってしまう」ということであれば、毎月1万円貯めると決めたら、先取り貯蓄のような形で、最初に1万円は別のところに分けて、残りでやりくりをするというやり方がいいと思います。
例えば、財形なんかはそういった仕組み作りに適していますし、つみたてNISAで自動的に手元から引いて投資していくようなやり方でもいいです。最初から無いものとして貯めていく方法が1つです。
他には、「やりくりする」という意味だと、支出項目ごとにお財布を分けて入れておくという方法もありますね。少し前だと、封筒に食費とか家賃など支出項目ごとに分けてお金入れておいて、そこから支払っていくというやり方でしたが、今だと、例えば食費はPayPayで支払いすると決めて毎月その範囲でやりくりするとか、銀行口座ごとにそれぞれの引落しを管理するというのもいいかもしれないですね。

02

家計簿アプリの選び方

―最近は家計管理のために家計簿アプリを使っている方もすごく増えていますよね。

自分が何にお金使っているかをあまり良く理解してないというケースが多いんですよね。
例えば、食費いくら使っていますか?と言われて、すぐに答えられる人ってほぼいない。 家計簿アプリで家計簿をつけていれば、それさえ見ればいくら使ったということがすぐにわかる。先月はその前の月よりも例えば○万円多かったとか、その多かった理由もちゃんとわかるんです。
家計簿アプリは家計を見える化するためにはとても重要なツールだと思います。

例えば、マネーフォワードMEやMoneytree(マネーツリー)なんかは比較的使いやすいと思います。どれも無料で使う方法があるので、まずはお試しで使ってみるといいと思います。どれを選んでいいのか分からないってことだったら、2つか3つぐらいを同時に使ってみて、使い勝手を比較してみるのもいいと思います。
銀行口座やクレジットカードを連携すると、取引履歴も全部取り込めるので、自分が何の用途でいくら使ったかということが自動で管理できるようになります。 ただ、こういうアプリに銀行口座とかクレジットカードを連携させることがセキュリティの面で不安だというふうにおっしゃる方も結構いらっしゃるので、その場合は自分で一つ一つ入力していくっていうやり方でもアプリは利用できるので、自分で入力して家計を管理していくというのでもいいと思います。

03

家計見直しのポイント

―家計簿アプリで家計を見える化した後の行動のポイントについて

やっぱり見直しの効果が大きな固定費から見ていくのがとても大切だと思います。 固定費というのは、基本的に毎月決まった金額を支払っているわけですよね。その決まった金額の部分を少しでも削減することができれば、毎月ある程度定額でお金が貯められるようになるというメリットがあります。
例えば、保険であれば必要なくなった大きな保障を見直しする。水道光熱費の場合は、今はエネルギー代が上がってしまっているので見直しで安くするというのは難しくなってきてはいると思うんですが、電気会社とかガス会社を変えることによって今より下げられるのであれば見直しをする。通信費、スマホ代についても、3年以上前から契約が変わっていないということであれば、格安のプランに入れ替えることで5,000円くらいに下げることができるかもしれない。
あとは、最近では、色々なサブスクを申込されている方も多いので、サブスクを見直しするというのも効果があると思います。例えば、スポーツジムに最初の3ヶ月行ったけどその後ずっと行ってないなとか、動画とか音楽のサブスクにたくさん入ってる方であれば、中には、ほとんど使ってないものがあるかもしれない。こういうサブスクの見直しをすると、例えばジムだったら毎月7,000円~1万円ぐらい安くなるし、動画とか音楽のサブスクだったら一つあたり毎月1,500円ぐらい安くなると思うので、そういうところを見直すことによって資金を作り出していくことができます。

―家計を見直しすることって大変そうなイメージがありますが、固定費の見直し、とくにサブスクの見直しは手軽にできそうですね。

家計を見直ししようと思うと、例えば食費を切り詰めるといったことを一生懸命にされる方もいるんですが、我慢することが続くと、生活が辛くなってストレスも溜まって長続きしないんですよね。だから、なるべく無理なく減らせるところから減らしていくことが大事だと思います。 そういう意味では、サブスクの見直しはそんなにつらい思いをしなくても済むんじゃないかなと思います。
例えば、動画とか音楽のサブスクであれば、また見たい、聞きたいものが出てきたらそこでもう一回契約すればいいんです。今、使ってないんだったら一旦やめるというのがいいと思います。

―家計の見直しはずっと続くものなので、ストレスなく取り組めるというのは大切ですね。

04

100円投資を考える

―家計を見直したことで捻出した資金の活用方法について教えてください。
以前は投資をするには、まとまった資金が必要でしたが、最近ではネット証券などでも100円から投資を始められるようになっていたり、投資に対するハードルが下がっている印象です。

「まとまったお金がないから投資はできない」というふうに言われる方、子供の教育費やローンの返済があるから余裕がないと言われる方は多いですよね。毎月1万円とか2万円を投資に回そうと思うと難しい場合もあると思いますが、例えば、毎月100円だったら年間で1,200円。ランチ1~2回分ぐらいの費用なので、あまり負担を感じずに始められるのではないかと思います。
『100円投資』のメリットは、誰でも始められるという点だと思います。例えば、成人年齢が18歳に引き下げられたので、高校3年生で18歳になりましたっていう子たちでも証券口座を開くことができて、100円から投資をすることができる。高校生や大学生などの学生でも、まず投資を体験してみることができるというのはメリットとして大きいと思います。デメリットは、投資額としては小さいので、2倍3倍になったとしても、「これでもう老後の生活は安泰です」とはならない点ですね。

―ストレスなく投資経験が積めるというのは魅力的ですね。

相場を「見て」、「知って」、「値動きを確認する」というのはすごく大切です。メンタルを鍛えるじゃないですけど、実際に投資をしてみて自分のお金の上がり下がりを経験してみるということは本当に大事だと思います。
投資を始めるには、どの金融機関を選んで、どういう投資信託を買ったらいいのかということを自分で調べて、口座開設手続きを含めて手続きしたりと、実は時間や労力が必要なんです。だから、最初に興味を持った段階でまず口座開設して、100円投資をするところまでできるとすごく良いんですよね。
お金が貯まったタイミングで始めればいいと思っていると、実際に、お金が貯まってきても投資を始めるために色々調べたりするハードルを乗り越えられなくて、なかなかスタートできないかもしれない。それだったら、まずは100円投資の仕組みを作っておいて、例えば、将来毎月1万円投資できるようになったらそのタイミングで投資の金額を増やしていけばいいんです。
一度投資を始めてしまえば、値動きが体験出来て、例えば5年くらいそれを続けていくと、投資した金額よりも1.5倍とか2倍になったっていう投資の成功体験ができるかもしれない。そうすると、将来投資額を増やすときの自信にもつながると思います。

05

まとめ

  • お金があると使ってしまう人は『先取り貯蓄』がおススメ
  • 家計を『見える化』して、自分のお金の使い方を知る
  • 家計の見直しはストレスなく続けていける方法で!
  • 無理なく投資経験を積む方法として『100円投資』を活用する
自分に合った資産運用について相談したい、相談しながらライフプランをふまえた資産運用を検討したい方は、ぜひFDAlcoまでご相談ください。

塚本俊太郎(金融教育家)

20年超外資系運用会社で勤務したのち、2020年に金融庁へ入庁し金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。Eテレ「趣味どきっ!」に3月1日(水)21:30から4週にわたり「金育」をテーマに出演。
日本金融教育推進協会理事
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慶応義塾大学総合政策学部卒業
シラキュース大学大学院国際関係論修士卒業

株式会社FDAlco 免許・許認可:金融商品取引業(投資助言・代理業)北陸財務局長(金商)第26号/加入協会:一般社団法人 日本投資顧問業協会